現在将棋界の7つのタイトルのうち、棋聖、王位、王座の3つのタイトルを保持している羽生さんの書いた本「決断力」を読んでみたので、感想を書いていこうと思います。
大まかな流れ
この本では、第一章から第五章に分かれており、主に羽生さんの将棋に対する考え方が詳しく書かれています。将棋ファンにとっては羽生さんの考えを窺う事が出来るので、とても興味深い内容となっていました。
第一章 勝機は誰にもある
将棋には現在約160名ほどのプロ棋士がいますが、その中で実力はほとんど変わらないそうです。
その中で何が勝敗を分けるかというと、羽生さん曰く、精神力だそうです。
単に精神力と言っても、簡単に身に付くことではありません。これには、若いうちから定跡に頼らず自分の頭で考える事が大事ということだそうです。
もちろん定跡は大事ですが、あくまでも定跡はなぜそのような手を指す必要があるのかを知るためのアイデアを得るために重要だそうです。
これは、一般的な学校教育でも当てはまりますね。小中高大で学んだ知識は役に立つのかを誰しもが一度は思った事があるのではないでしょうか。この答えは必ずしも役には立たないです。
しかし、思考プロセスという観点から見ると役に立つと言えます。目先の利益だけ考えていると意味の無い事のように感じてしまいますが、長期の視点から見ると、有用だと言う事です。
第二章 直感の七割は正しい
この章は、本のタイトルでもある「決断力」に大きく関わる所です。プロ棋士は手を読む力が優れている訳でありますが、対局という限られた時間の中で指す手を決断しなければならない局面に直面します。
そんな場面で頼りにするのは大局観です。これもちょっとやそこらで身に付く事ではありません。しかし、自分で考えるという道筋をたどってきていれば、大局観で指した手もおおよそ良い手となることが多いようです。
日頃から考えるということはいざ大事な決断をしなければならない時に役に立つのでしょう。
第三章 勝負に生かす「集中力」
集中力だけを高める方法があったら知りたいものだが、案外そのような方法は無いようです。集中力を高めるには、何か好きなものに打ち込むというのが良いという事です。その時の充実感を忘れずに持っておくのが大事なんですね。
第四章 「選ぶ」情報、「捨てる」情報
第四章では、情報化により、棋譜の情報を素早く入手出来る点に関しての意見が述べられています。
一般的に思うのは、棋譜が確認出来るのでどんどん棋士は強くなるのではないかという事だと思います。
しかし、ただ棋譜の情報を得る事が容易になったからと言って、すぐに強くなる訳ではありません。何年もかけて作られた定跡、または最新の定跡に関して、その手順を覚えておけばいいという訳ではなく、どんな理由でその手順が選ばれるようになったのかを自分で考えながら進めていかなければ強くならないという事です。
第五章 才能とは、継続できる情熱である
プロ棋士は、職業が棋士なので、当然将棋を指す事が仕事である。プロ棋士である以上年に何十局も指す訳だが、負けが続いてモチベーションが保てなくなったら大変である。
そこで重要なのがモチベーションの維持である。
モチベーションの維持で簡単な例を挙げると子供の習い事である。大人から課された小さな課題をクリアしていく毎に褒められる。これは子供に撮ってはとても嬉しい事で、習い事を続けようという気になる。
この形式を応用しているというのである。本書で挙げられているのは、面白い将棋である。毎回の将棋で、何か試してみたい戦法を試みてその是非を自分で検討するものである。
まとめ
観る将棋ファンとして大変面白かったです。普段言われるような羽生マジックも周りがいっているだけであって、本人としてはいつも通りに指している事がわかります。
やっぱり続けるという事は大変だと思います。ブログも続けられるようにモチベーションを維持していこうと思います。
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